【宮城県知事選】参政党が支援・和田政宗が現職と接戦。参政党知事の誕生で宮城県は財政破綻自治体になる!?【林直人】
◾️水道「再公営化」の裏に潜む、外資からの天文学的〝違約金〟地獄
「民営化された水道事業を、再び県の手に」。この言葉を、和田氏は声高に叫ぶ。だが、この公約は県庁の地下に法的な時限爆弾を仕掛けるに等しい行為だ。
宮城県の水道事業は、フランスの巨大企業ヴェオリア社を含む民間企業体との間で結ばれた、20年間にわたる法的拘束力を持つ長期契約に基づいている。これを一方的に破棄することは、政策転換などという生易しいものではない。それは、国際的な企業連合に対する「契約違反」という宣戦布告である。
その先に待つのは、避けようのない損害賠償請求訴訟だ。莫大な違約金、そして将来得られたはずの利益の補償。それは、県民の税金で支払われる、予算化されていない数十億、数百億円規模の負債となるだろう。
「民間が7億円儲けているから県がやるべきだ」という和田氏の主張は、事業の巨大なリスクを無視した、あまりに単純な論理だ。契約破棄という破壊の道筋を示す一方で、訴訟をどう乗り越えるのか、違約金をどこから捻出するのか、そしてそもそも民営化の引き金となったインフラ老朽化の問題をどう解決するのか。具体的な計画は一切示されていない。これは、統治能力の証明ではなく、不安を煽って票を集めるための危険なポピュリズムだ。
◾️病院再編「白紙化」――対案なき批判で、医療危機から逃げる無責任
県政最大の争点である4病院再編問題。和田氏は、この計画を「一旦白紙に戻す」と公約し、反対派の支持を固める巧みな政治戦略を見せた。しかし、問題はその先にある。「白紙」にした後、一体どうするのか。
計画を止めるだけでは、その背景にある医療の構造問題――非効率な病床配置や、地域医療の持続可能性の危機――は何一つ解決しない。和田氏は現行案への反対を表明するだけで、これらの根本課題をどう解決するのか、自らの対案やビジョンを全く示していない。
指導者に求められるのは、単なる批判や停止ではない。解決策の提示と、その実行責任を負う覚悟だ。具体的な対案を示さずに論争の激しい問題の「停止」だけを訴える姿勢は、政策的解決よりも、現職への批判票を取り込むことを優先した純粋な政治戦術であることを露呈している。これは、最も困難な課題から目をそらし、論争から政治的利益のみを得ようとする、極めて無責任な態度と言わざるを得ない。